源泉徴収と源泉所得税。外部に仕事を委託するときには注意が必要

外注先がフリーのデザイナーや翻訳家などであった場合、源泉所得税を引いて料金を支払う必要があります。

※この記事は、投稿日時点での法律・状況等に基づき執筆しています。

源泉徴収とは?源泉所得税とは?

まずは、源泉徴収について。

源泉徴収とは、給料などを支払う事業者が、その支払う金額からあらかじめ所得税を差し引いて国に納める制度のことをいいます。

このときに差し引く所得税が、源泉所得税と呼ばれるものです。

この源泉所得税は、差し引いた事業者が税務署に支払わなければなりません。

・源泉徴収の対象となるもの

源泉徴収をしなければならないものは、

  • 給料
  • 退職金
  • 年金
  • 報酬(具体的には、原稿料、デザイン料、著作権の使用料、講演料、翻訳料、税理士・社労士・弁護士の報酬など。)
  • 利子
  • 配当

などいくつもあります。

ちなみに、利子や配当を除き、支払う相手側はすべて個人であり、会社ではありません。

今回は、報酬についてみていきたいと思います。

報酬から源泉徴収した源泉所得税

個人に対して支払うデザイン料などの報酬については、源泉徴収をしなければなりません。

報酬の10.21%を差し引いた金額を、その個人に対して支払うこととなります。

源泉徴収はあくまで個人に対してするものであり、法人に支払う報酬については源泉徴収する必要はありません。

・源泉徴収する金額の具体例

例えば、個人のデザイナーに支払うデザイン料が、10万円(税抜)だったとします。

原則は、

10万円 ✕ 消費税8% = 108,000円・・・①
108,000円 ✕ 10.21% = 11,026円・・・②
① − ② = 96,974円

が、実際にデザイン料として支払う金額になります。

ただし、請求書などにおいて消費税が明確に区分されていれば、

10万円 ✕ 消費税8% = 108,000円・・・①
10万円 ✕ 10.21% = 10,210円・・・②
① − ② =97,790円

としてもよいことになっています。

どちらを選んでもOK。

ただ、煩雑になるので、どちらか一方のパターンに統一しておいたほうがいいでしょう。

税理士や司法書士など士業からの請求であれば、源泉所得税を差し引いた金額を請求してくるはずです。

しかし、フリーランスのデザイナーの方などで独立間もない方だと、源泉徴収についてまだあまり分かっていない可能性もあるので気をつけましょう。

・源泉徴収の対象となる報酬

源泉徴収をしなければならない報酬で、代表的なものをあげておきます。

  • デザイン料
  • 原稿料
  • 講演料
  • 弁護士、公認会計士、司法書士、税理士、社労士に対する報酬
  • 著作権の使用料
  • 翻訳料 など
法律にこれらの報酬や料金については源泉徴収をしなさい、ということが定められています。

逆に言うと、法律に定められていないものについては、源泉徴収しなくてもよいということになります。

※豆知識

  • 行政書士に支払う報酬
  • ウェブサイトの制作料

については源泉徴収は不要となります。

なぜなら、これらの職種については法律に「源泉徴収すべき」とは載っていないからです。

ただし、ウェブサイトのデザインとなると源泉徴収は必要となります。

微妙な法律であまり納税者を惑わせないで欲しいです・・・

・源泉徴収しなくてもよい場合

法律に記載された源泉徴収しなければならない職種であっても、源泉徴収しなくてよいケースがあります。

それは、報酬を支払うご自身が次のような場合です。

  • 法人である
  • 事業を営んでいない個人(個人だけど、個人事業主ではない)
  • フリーランス・個人事業主だけど、人を1人も雇っていない(ひとりで事業を営んでいる個人)
  • 雇っている人はいるけど、その雇っている人が家事使用人(2名以下)の場合
このような場合には、報酬の支払いに対して源泉徴収する義務はありません。

ちなみに、「家事使用人」とは、家政婦さんやベビーシッターなどの家事専門の方々のことをいいます。

家政婦さんなどを2名までなら雇っていても源泉徴収はしなくていいけど、3名以上雇っていると源泉徴収しなくちゃダメ、ということになります。

源泉所得税を納付する

差し引いた源泉所得税は、差し引いた側が税務署に納付します。

納付期限は、その報酬を支払った月の翌月10日です。

1日でも遅れると罰金を取られるので、気をつけましょう。

(その罰金の名前は、「不納付加算税」といいます。)

気をつけよう、税金の罰金
税金の支払いが遅れたり、税金の申告で悪質な不正がみつかったりすると、罰金が課されます。 「税金こそが我々国民に課された罰金である」という話ではありません。 税金の罰金 税金の罰金には、次のようなものがあります。 延滞税(えんたいぜい) 過怠...

・納期の特例

「源泉所得税の納期の特例」の申請をしている事業者であれば、税理士や司法書士などの士業に対する報酬については、給料の源泉所得税と同様、7/101/20の納付期限となります。

ただし、他の報酬については「納期の特例」は適用されず、翌月10日が納付期限です。

納期の特例とは?源泉所得税の支払いを半年に1回に。
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【HMJのつぶやき】

中野にあるお気に入りのラーメン屋、バラそば屋。

阿佐ヶ谷駅前にもいつの間にかできていました。

 

【昨日の1日1新】

阿佐ヶ谷 バラそば屋